「先師なる如浄古仏は、年のはじめ、法堂にいでまして仰せられた。」「正月元旦、年のはじめ、万物ことごとく新たである。伏しておもんぶれば大衆、梅は早春にひらく。」その主旨は、梅の開くにつれられて、春ははやくも来るというのである。けだし、すべての春は梅の蔵するそくばくの功徳であるからである。春が来れば万物はみな新しくなる。存在はすべて新たにせられる。年のはじめあたっては瞳もまた正しゆうなる。万物というのは過去・現在・未来ばかりではなく、とおい昔のそれよりも以前から、限りない未来におよぶすべてのものである。(道元:正法眼蔵・梅華)