「長沙景岑の言葉」「尽十方界、無一人不自己」十方世界は一人として自己でないものはない。師家の一人ひとりも、修行僧の一人ひとりも十方世界と自己とが同じでない人はない。十方世界が、自己そのものであるから、自己としての自己も、他己としての自己も、自己としての他己も、すべてこれ十方界である。つまり仏道の生命は、畢竟、自己の手中にあるのである。。この故に、人々おのおのが本来の面目を所持しているのである。人間一人ひとりの存在は、その本来の面目の生命を他より得るものではなく、人々の本具のものである。(道元:正法眼蔵・十方)