「衆生に利益を与えるということとは」一切衆生に利益を与えるということは、あらゆる衆生をして自らよりも先に他を彼岸に渡したいという心を起こさせた力によって。自らが仏になるであろうと思ってはならない。自らがたとえ仏になるべき功績が熟して満ち足りたとしても、なお、その功績を一切衆生のいちいち真実に目覚めることができるために役立たせようと努めるのである。(道元:正法眼蔵・発菩提心)