「悪魔の四種」一つには煩悩魔、二つには五衆魔、三つには死魔、四つには天子魔」である。煩悩魔とは、いわゆる百八の煩悩なのである。これを分析すれば八万四千の諸々の煩悩である。五衆魔とは、煩悩がいろいろと結合してなったものである。死魔とは、すべて無常であるゆえに、これまで続いていた色・想・行・識の寿命がやぶれて識と熱と寿の三つのものが尽きてバラバラとなったなったものである。天子魔とは、欲界の主である。深く世の楽しみを愛着し、ものを所有することを愛するがゆえに、ついに邪見を生じて賢聖の語る涅槃にいたる教えを妬み憎むものである。(道元:正法眼蔵・発菩提心)