「仏道について道元の考え方」第一 この仏祖正伝の大道をことさら禅宗などと称するのは、それは仏教そのものがまるで解っていない。第二 さらには近来においてはその禅宗のなかにいわゆる五家の家風なるものがあるというが、そんなものはもはや仏法でなければまた祖師道でもないという。第三 更に五家の祖とせられている祖師がたについて、それらの祖師がたも決してあるいは潙仰宗(いぎょうしゅう)を名告り、あるいは臨済宗を称し、あるいは曹洞宗を立てるなどという意向はもっていなかった。道元はあらゆる宗派を否定しさったが、道元その人はいずれに依っているのであろうか。それは天下の庸流どもとは全くその類を異にした仏教者であるというのか(道元:正法眼蔵・仏道)