「洞山良价の場合」洞山良价は、正しく青原行思の四代目の嫡嗣として、その正法眼蔵を正伝とし、涅槃妙心に開眼されたのであって、そのほかにはなんの別伝もなくまた別宗をもっていない。従って大師は曹洞宗と称するがよいと大衆に示したことはない。のまた洞山宗などと称することもなかったのである。ましては曹洞宗などというものもあろうはずがない。曹洞宗ということばは、曹山本寂をもくわえて称するもののようであるが曹山よりも雲居道膺や道安道丕も加えるべきである。雲居は曹山よりもすぐれて尊い存在であった。(道元:正法眼蔵・仏道)道元は、曹洞宗が洞山とその法嗣である曹山に帰する考え方を批判しているのである。