「一切菩薩阿耨多羅三藐三菩提は皆属此の経。此の経は方便門むを開き、真実相を示す。」一切ノ菩薩の無常の証(さとり)の体験は、皆此の経のぞくしているのである。この経は方便の門を開いて真実の相をしめすのである。一切の菩薩とは、一切の諸仏のことである。もろもろの仏と菩薩たちは決して別の者ではないのである。いすれが勝り、いずれが劣れるというものでもない。その仏と成るにあたっては、必ず菩薩の道程を行ずるのが定まれる法式というものである。従って初発心にて成仏するのもあり、妙覚地にいたって成仏するももあり、また幾度と数え切れないほど仏となった菩薩もある。ひとたび仏となってよりのちは菩薩行をやめてしまって、もはやなすべきことはないはずだというのは、まだまだ仏祖の道をしらない凡夫というものである。(道元:正法眼蔵・諸法実相)