「道教・儒教・仏教の一致論をしりぞける」孔子・老子・の教えは、わずかに聖人の眼と耳とをもって天地の現象を弁別したものであって、仏の語る三世因果のことなどはかれらの一生や多生をもって通達しうるものではない。あるいは彼らは人間の身心の理想の境地をわずかに無為の境地としてしめしているが、仏教者が十方世界に亘る真実のすがたを無際限の時のなかにあって把握しているの二は遠く及ばないである。むやみに揆を一つにするというのは仏法を謗るものである。(道元:正法眼蔵・仏経)