「法性(ほっしょう)について」法性は仏経の意義は多義である。1ある時は存在をいう言葉として、2ある時は3存在のありようをいうことばとして、4ある時は存在のありように即して説かれた仏の教えをいう。この巻では1の存在そのものとして抽象形としてとかれている。仏道の参学は、あるいは経巻にしたがい、あるいは正しい師にう従うことである。しかし、結局は無師独悟である。自らの修証の力にによって自己本来の面目、本具の法性(仏心)の現成、真理の体験にある。経巻あるいは正師と自己が一如となることで経巻も師も自己も法性と観ぜられるとき無師の体験となるのである。無師独悟のこの仏心の現成、真理の体験は、法性おのずからの働きである。((道元:正法眼蔵・法性)