洞山のことば「洞山はまた、その「仏を超越した人」は「それは仏ではない」といった。そこで、もしも、仏でない人ならば、どんな人であろうかと疑いがおこるようだったら、かように考えてみるがよろしい。それは、仏より以前の人だから仏にあらずというのではなく、また、仏より以後の人だから仏にあらずというのでもになく、あるいは、仏をこうえた人であるからそういうのでもない。ただひとえに、仏を超越(仏向上人)しているから仏にあらずというのである。そこで仏でないというのは、仏の面目を脱落(脱落仏面目)しているからかくいうのであり、仏の身心(脱落仏身心)を脱ぎすてているからかくいうのである。(道元:正法眼蔵・仏向上事)