「大慈寰中(だいじかんちゅう)のこと」「一丈を説き得ることは、一尺を行じ得るにおよばない。一尺を説き得ることは、一寸を行じ得るに及ばない」この意味は今の人々が行じつづけることをおろそかににして、仏道に通達することを忘れたかのようにみえるを誡めた言葉のようであるが、決して一丈を説き得ることがいけにないというのではなく、ただ、一尺を行じ得ることは、一丈の説得よりもはるかに大仕事だというのである。仏道において行持の大切なことであることを自分に言いきかせていたものであろう。(道元:正法眼蔵・行持)