「寒さの苦しみをおそれてはならない。寒苦はなお人を損なうものでもなく、なお道 を損なうものではない。ただ修せざるを恐れなくてはらない。修せざれば、それが人を損じ、道をやぶる。かって釈尊は、馬糧の麦の供養を受け、伯夷はわらびをとって生きたという。血を求める餓鬼にならい、乳を求める畜生になろうてはならない。ただ一日の行持にはげむ。それがもろもろの仏たちの履(ふ)みきった足跡である。(道元:正法眼蔵・行持(下))