「水の本質」たとい水にはいろいろの類があるといっても本の水というものがあるわけではなく、また、いろいろの種類の水があるわけではない。だがしかし、類にしたがってさまざまの水を見るというのは、心によるものではなく、身によるのでもなく、業によって生ずるのでもなく、自己によるにもあらず、他己によるにもあらずあくまで水によってである。だからして、水は地・水・火・風・識等でもなく、また黄・赤・白・黒などでもなくむ、色。声・香・味・触・法などてせもないけれとせも、なお地・水・火・風・空などの水がおのずからに形成される。(道元:正法眼蔵・山水経)