古仏のことば「無間地獄に墜ちるまいと思うならば、如来の正法を非難してはならない。」この言葉をふかく骨髄に銘ずるがよい。身心の銘ずるがよい。空に銘ずるがよく、地に銘ずるがよい。それはすでに樹に刻み、石に刻みあるいは野に説き里に説いて経として残されてある。およそ山は国々に属しているけれども、まことは山を愛する人に属するのである。山は必ず主を求める。その時、高徳の賢人・聖者が山に入るのである。聖者・賢人が山に住むときには、山はその人に属するから、樹み石もさかえ、鳥も獣もうるわしい。それは聖賢の徳を蒙るからである。それが山の聖をのみ、賢を愛する証である。(道元:正法眼蔵・山水経)