「嗣法の根本的道理」嗣法の道理は、仏と仏とではなくては判らぬところである。いまだ仏位にいたらぬ修行者の量りうるちころではなく、ましてや経師や論師などの到底推し知りうるところではない。たといかれらのために説いても彼らにはわからないであろう。仏より仏へと相嗣ぐべきことであるからである。かくて仏道とは、ただ仏と仏とのみ究め尽くすところであって、仏と仏のことならぬ時は、あり得ないと知られる。(道元:正法眼蔵・嗣法) 経師とは経の文によりその義を釈することに専らなるもの、論師とは、論蔵により、論義を学ことに専念する者をいう。今日の言葉で言えば、仏教の学者と思想家ということであろう。