天堂の嗣書「先師なる天童の住持は、人がみだれに嗣法を称することをかたく戒めたもうた。まことに先師の門は古仏のあつまるところであって、禅林の中興といって然るべきであった。御自分でも、筋の通らぬ袈裟はかけなかった。お手元には、芙蓉山の道楷禅師の法衣が伝わっていたが、法堂にいで、高座にのぼるにもこれを架けず、およそ住持として筋の通らぬ法衣は、一生に一度として着けたことはなかった。心あるものも、物を知らない者も、みんな褒めて、ほんとうの善知識であると尊敬した。(道元:正法眼蔵・嗣書)

(芙蓉道楷は曹洞門の第八祖、如淨は智鑑大和尚の法嗣である。)