「唯仏与仏、乃能究尽、諸法実相(ゆいぶつよぶつ、ないのうぐうじん、しょほうじつそう」釈尊は、法華の唯一の道である諸法実相(万象のそのままが仏、真理の相)の道理による一乗の教え、すなち仏道の真理は法華経の教えのみであり、仏道としての乗物は唯一の法華経という乗物であるというのである。この唯一乗の教え(一切衆生をしてことごとく成仏せしめる経え)、釈尊の出世は法華経を弘めるためにあるのである。このことは凡夫や小乗の修行者たちの知ることのできない深遠な教えである。だから法華経の方便品に「仏と仏のみ即ち能く諸法実相を究尽す」とある。この教えは必ず一仏乗である限り、ただ仏が仏にのみ究め尽くさせ、諸仏や過去七仏が各々に究め尽くして、それが釈尊に帰一し、それが釈尊によって完成されたのである。(道元:正法眼蔵・法華転法華)