「しかるに、玄沙は、「では、火炉のひろさはどのくらいか」と問うた。その問いは大変有名なことばであって、いつの世にもよくよく学べきであろう。いまその火炉をみている。それはいったい誰であろうか。見ていっているはといっても、それは七尺炉でもなく、八尺炉でもない。それはもう、その辺の世間話ではなくて、まったく新しい特別のものである。いうなれば、「こんな物がどうして現れたのか」ということである。」(道元:正法眼蔵・古鏡)
原文「玄沙のいふ火炉闊多少、かくれざ道得なり。千古万古にこれを参学すべし。いま火炉をみる、たれ人となりてかこれをみる。火炉を見るに、七尺にあらず、八尺にあらず。これは動執の時節話にあらず、新条特地の現成なり。たとへば是什麼物恁麼来なり。」