「看経の作法3」「拝しおわると、曲彔(きょくろく)について、看経のおこなわれたことを証言する。曲彔は聖僧の像の左の柱のあたりに、南に向けておく。あるいは南がわの柱のあたりに、北に向けておく。施主がその座につくと、知客もまた施主に一礼して、その坐にすわる。また施主が堂を巡るあいだ、梵音を奏することがある。その梵音の座は、あるいは聖僧の像の右、あるいは左と、便宜にしたがう。その時、手炉には、沈香(じんこう)・桟香などの名香をさしはさんで焼く。その香は施主みずから準備しなければならない。また、施主が堂を巡るときは、衆僧はみな合掌する。(道元:正法眼蔵・看経)

原文「拝をはりて、交椅につきて看経を証明す。交椅は、聖僧のひだりの柱のほとりに、南にむかへてこれをたつ。あるひは南柱のほとりに、きたにむかへてたつ。施主すでに座につきぬれば、知客すべからく施主にむかひて揖してのち、くらゐにつく。あるいは施主巡堂のあひだ、梵音あり。梵音の座、あるいは聖僧のみぎ、あるいは聖僧のひだり、便宜にしたがふ。手炉には、沈香・桟香等の名香をさしはさみたくなり。この香は、施主みずから弁備するなり。施主巡堂のときは、衆僧合掌す。」