「看経作法4」つぎに看経の銭をわかつのである。銭の多い少ないは施主の志のままである。時には綿とか扇子とかの物資をわかつこともある。それを分かつには、施主が自分でわけることもある。知事がそれをすることもある。また雑役の者を労することもある。その分け方は、それぞれの僧の前に置くのであって、手には渡さない。僧たちは、その銭が前に分かち置かれる時、それぞれ合掌して受けるのである。また、その銭は、その日の食事の時にわかつこともある。もし食事時にわかつような時には、食事がおわったのち、首座がさらに雲板をさらに一打して、首座がそれを分かつのである。施主が回向の趣旨は、紙片に書いて聖僧の像の右の柱に貼る。(道元:正法眼蔵・看経)
原文「つぎに看経銭を俵す。銭の多少は、施主のこころにしたがふ。あるいは綿、あるいは扇等の物子。これを俵す。施主みずから俵す、あるいは知事これを俵す、あるいは行者これを俵す。俵する法は。僧のまへにこれをおくなり、僧の手にいれず。衆僧は、俵銭をまへに俵するとき、おのおの合掌してうくるなり。俵銭、あるいは当日の斎時に俵するがごときは、首座施食ののち、さらに打槌一下して、首座施財す。施主回向の旨趣を紙片に書きて、聖僧の左の柱に貼せり。」