「虚空のごとくにして学べ」よって知るべきである。受持し、読誦し、理のままに思惟することがとりもなおさず智慧を守護することである。守護しようと欲するならば、それを受持し読誦するのがよい。わが先師・古仏如淨は詠じていった。「全身を口として虚空にかかり東西南北の風を問うことなしひとしく他のために般若を詠ず ちりん、ちりん、また、ちりん」それが仏祖正伝の智慧を談ずるものである。身をこぞっての智慧であり、他者をこぞっての智慧であり、自己をこぞってことごとく智慧である。(道元:正法眼蔵・摩訶波羅蜜多)

原文「しるべし、受持読誦、如理思惟、すなはち守護般若なり。欲守護は、受持読誦等なり。先師古仏云、渾身似て口掛虚空、不問東西南北風、一等為他談般若、滴丁東滴了東。」これ仏祖嫡嫡の談般若なり。渾身般若なり、渾他般若なり、渾自般若なり、東西南北般若なり。