暮夜無知(ぼやしるなし)

「暮夜無知」四字は百悪の総根なり。人の罪は欺くより大なるはなし。欺く者は、その無知を利するなり。

この四字は後韓末の揚震の故事である。人を欺くことは百悪の総合的な根である。人の罪は、欺くことより大なるはない。欺くというは、うそ・偽りでその知る無きを利するのである。人間にとって最も大事なものは、敬恥のこころであり、その敬恥の心が悪い方に働くと忌憚の心になるのです。従ってこの忌憚の心を失ってしまったら是は「此れ死生の関」であって、まさに死のみちである。為政者は心すべきである。